貧困こそがテロの土壌だ 『 思想運動 』 659号 10月1日号 小川町企画 <2001年(平13)>
 貧困こそがテロの土壌だ 『 思想運動 』 659号 10月1日号 小川町企画

 アメリカは国連に背を向け、多国籍軍方式でタリバン政権へのオサマ・ビンラディン氏らへの「あぶりだし作戦」を進めている。その第一要請が国境の完全閉鎖だった。
 アフガニスタンは交易によって成り立ってきた国である。パキスタン、イランからの食糧、物資の流れは内戦の最中でも途切れることはなかった。私たちの映画『よみがえれカレーズ』(1988)でもパキスタンとの国境カイバル峠がらくだ道によってシルクロード時代のまま悠々と続いている情景を描いた。その遮断は内陸国アフガンにとって死を意味する。
 この冬を前に、三年連続の日照りにより国内での餓死者は百万、さらに今回の国境完全封鎖により、食糧支給を必要とするもの五百万人に上ると世界食糧計画は見ている。国連アナン事務総長は「難民にむけての国境の解放」と緊急の「四百億円の緊急給食体制」を求めた (9,27)。だが国連諸機関職員はアメリカの攻撃を避けて全員カブールから避難している。テロの再発を防ぐのに、今日本が為し得る協力はこの国連の声に応えて汗をかく事ではないか。貧困こそテロの土壌だからだ。