ブレヒトの指針
1934年ナチズムの圧制のもとにあって、作家、文化的活動家にあてたブレヒトの指針です。
土本
「真実を書く際の五つの困難
現在、虚偽や無知とたたかって、真実を書こうとする者は、少なくとも五つの困難にうちかたねばならない。真実がいたるところでおさえつけられているにもかかわらずこれを書く勇気を、真実がいたるところでおおいかくされているにもかかわらずこれを認識する賢明さを、真実を武器として役立つようにする技術を、その手に渡ったとき真実がほんとうの力を発揮するような人々を選び出す判断力を、そういう人々の間に真実をひろめる策略をもたなければならない。
そして私たちはこの五つの困難のすべてを、一時に解決しなければならぬ。野蛮な状態について真実をきわめようとする際には、その下で苦しんでいる人たちのことを考えぬわけにはいかないからだ。臆病心が頭をもたげるのを絶えず払い落としながら私たちは、真実の状態を、それについて知識を役立たせようと待ちかまえている人たちのことを心にとめながら、さがして行く。
1934年に書かれた、これはドイツ著作家防衛同盟がパリで出していた「現代」という反ファシズム雑誌に匿名で掲載された。」
今でも、そのまま心に沁みるではありませんか? 土本
03、6.5